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全キャラゴブ仮面でいるので知ってる人もいるかもね。
ギルドもあります。一応メンバー募集中
BAR「Calm Crime Adze」
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「ひぎゃああああああああ」
・・・今日も、首都プロンテラに、人のものと思えぬ叫びが響き渡る。
「だ、だから、豆腐投げんなっつーの!仮面の予備、今日あんまりないんだから!」
叫んでいるのは、ニヤニヤと笑っているような表情が描かれた、ゴブリン族の仮面を被ったブラックスミス、アッヅ。仮面には、無残にも無数のヒビが入っていた。何故だか、ヒビだらけの仮面には、白く水っぽい塊がいくつも付いている。
「・・・っていうか、予備持ってるんですね?」
柔和な顔をした、ハイプリーストの青年が呟く。その青年の金色の髪には、大きなリボンが巻かれていて、妙に似合っていた。青年の名はシトラ。アッヅが所属するギルド、薔薇の騎士団の数多いメンバーの中でも、有数の実力者である。その片手には、白い塊、『豆腐』のパックを持っていた。
「・・・しとらーん、まさかとは思うけど、これ以上投げないよね?」
アッヅが、後ろにじりじり下がりながら言うと、シトラは首をかしげ、
「・・・んー?」
・・・そうして、またプロンテラの空に、悲鳴が響く。
アホー、アホー、アホー・・・
・・・嗚呼、世は全てこともなし。
たとえ、一匹のゴブリンが苛められていようと、だ。
「・・・はー」
アッヅは、溜息をつきながら、プロンテラ十字路で露店を出して座っていた。手元には、ヒビ割れた仮面があり、何やら液体をハケのような物で塗りこんでいた。塗りこんだ場所は、じわじわとであるが、ヒビが塞がっていく。
「おや、どうしたあじっこ」
不意に声を掛けられ、ふと上を向くと、長い茶色の髪にリボンをつけた女性がいた。
「やあ、みすち。良い日和だ、全く・・・」
みすちと呼ばれたプリースト・・・ミスティは、アッヅの手元を見て、なにやら悟ったように、顎に手を当てた。
「まーた割られたか」
ニヤニヤしながら、ミスティは言った。そう、アッヅにとっては、殆ど毎度のことのようなもので、薔薇のギルドメンバーにとっても、それは日常の光景の一つとなっていた。
「全く、最近はしとらんだけじゃあなくて、ゆっきーや真さん、さらにはクロウさんまで投げてくるようになったぞ・・・」
アッヅのゴブリン仮面は、非常に特殊な製法(本人談)で出来ていて、米を秘伝のタレにつけて、不思議な釜で三日間焼くと出来上がるらしい(本人談)。修理の際は、秘伝のタレをつけるとくっつくとの事だ(本人談)。
非常に硬く、あらゆる攻撃に対して無敵、唯一弱点とするのは、『豆腐』と言う、訳の判らない代物である。
曰く、「絹だろうが木綿だろうが湯葉だろうが豆乳だろうがにがりだろうが全て無理」・・・だ、そうだ。
ハンマーで殴りつけても平気だが、豆腐が触れると、一瞬でヒビが全体に行渡り、当たった箇所はクレーターのように凹む。故郷であるゴブリン村(本人談)の話のはずみで、アッヅが口を滑らせてしまった。
半信半疑で、ミスティが投げてみたところ、言葉の通り、無残な仮面の残骸だけが残った。因みに、仮面が割れると何故かアッヅ自身にダメージがあるらしく、良い当たり方をすると、気絶してしまうこともある。
「・・・ヒビや凹みくらいなら直せるんだが、割れてしまうと、焼き直しなんだよなあ・・・」
チラッ、と、アッヅは自分の腰に提げている鞄を見た。中には、無残にも砕け散った、仮面の破片であろうものが入っているようだった。
「特に投げるのがうまいのは、しとらんだな。全く、可愛い顔をしてドSだぜ・・・ん?」
慣れた手つきで、ビンに入ったタレを塗っていたアッヅの手が、突然、凍りついたように動かなくなった。
ミスティが顔を覗き込むと、アッヅの仮面をつけた場所以外、首筋や頭から、大量の汗が流れ出していた。
「ど、どうしたあじっこ。悪いものでも食べたか」
カタカタと身を震わせるアッヅの肩を、ミスティが掴んで揺すった。
パラッ・・・
「えっ・・・」
「・・・消費期限切れ?」
薔薇の騎士団の溜まり場の隅っこで、顔を両手で押さえたアッヅが、体育座りで泣いていた。
「何か、期限切れてると、逆にヒビが入っちゃうんだってー」
ミスティが、呆れた顔でそう言った。薔薇の騎士団団長であるアイヤールが、アッヅの様子を見て聞いたのだが、答えを聞いて、唖然とした顔になった。横で聞いていたシトラも、よく分からないと言った顔だが、これは割といつものことである。
「はー、その仮面はどういう理屈で固まってるんだろうか、一度、説明願いたいくらいだ」
アッヅは、団長のほうを向かず、手を上げて横に振った。どうやら、説明出来ないようだ。
「だったら、作りに戻ったらいいじゃん」
団長は、かれこれ1時間も、溜り場にうずくまったままウジウジしているアッヅに、極めて現実的な事を言った。
「・・・いやー、俺、勘当されてるから」
アッヅはそういいながら、やっと面を上げた。ギルドメンバーも、アッヅの素顔を見る機会は滅多に無い為、その青年がアッヅであることを、皆は一瞬忘れてしまった。瞳は紅く、白い髪と白い肌が、まるで吸血鬼を連想させる。幼い顔つきをしているが、目の下に出来たクマのせいで、一目見ただけでは実年齢を割り出すのは難しいだろう。視力が悪いのか、ミニグラスを掛けているため、徹夜後の研究者といった印象だった。
「相変わらず不健康そうですね」
シトラが、辛らつな言葉を投げかける。何回も割っているだけあって、素顔を見ても大して何も思わないようで、ある意味いつも通りの発言だった。
「生まれつきだ、放って置いてくれ・・・。どうせ親父殿に言っても、追い出されるだけだしな・・・」
「・・・こっそり奪ってくればいいんじゃ?」
「・・・へ?」
シトラの発言に、その場に居た全員が唖然とした。そして、全員がこう思った。
悪魔の囁きって、まさしくこれのことなのだろう、と。
「・・・で、何故君たちまでついてくるのか」
その日の夜中、アッヅは、ゴブリン村までの森の中を、忍び足で歩いていた。
「だって、面白そうだし」
ミスティが小声で返事をする。その後ろには、全ての元凶であるシトラも居た。
「暇つぶし」
「・・・結構、俺にとっては大事なんだがなあ・・・全く」
アッヅは溜息を吐いた。
「まあ、今更何を言ってももう遅い、と」
既に、村は目と鼻の先だった。アッヅ達は村に入る直前の森で、一度足を止めた。
「・・・さて、そろそろかな?」
そうアッヅが呟いた直後、音もなく目の前に影が現れた。
「お待たせしました」
「いや、全然。無理言ってごめんね。どうだった?クロウさん」
その影は、薔薇の騎士団ギルドメンバーである、アサシンのホワイトクロウだった。忍び込みが得意な彼に、様子を見てきてもらっていたのだった。
「蔵らしき場所の周辺には、いっぴ・・・一人もいませんでした。大分、無防備ですね」
「ま、そりゃそうだろうなあ・・・平和ボケしすぎだっての。本当ごめんね、面倒なこと頼んで」
「いえいえ」
ホワイトクロウは首を横に振った。気にするなといったその態度に、アッヅは余計申し訳なくなってしまった。とはいえ、早くしないと、偵察も無駄になるかもしれないと思い、アッヅは気持ちを切り替え、村の奥にある、蔵へと向かった。出会いがあれば別れもあるが、偶然、また出会うこともある。一期一会って言葉があるが、二度目に期待しても、別に誰も、構いはしない筈。また会いたい人って、誰にでもいるだろう?
今日も、プロンテラの空は青く、日差しが心地良く、眠気を誘う。草原に寝転んだ俺は、ボーっとした瞳で、遊んでいる二人組の男女を見ていた。
一人は、背の高い、白髪の青年サイス。もう一人は、背の低い、茶色のおさげの女の子クィン。二人は、サイスのペットである、ルナティックのアルを構って、遊んでいるらしかった。
あの、ゲフェンでの出来事の後、クィンは聖職者見習い(アコライト)になった。そして、彼女は俺達と、行動を共にすることが多くなった。サイスが彼女のことを気に入っていて、また彼女のほうも、サイスを気に入っているようだ。二人は仲の良い兄弟のように、暇な時は、こうして二人で遊んでいる。
・・・心配は、もういらないか。
「・・・何か、考え事ですか?アッヅ」
「ん?ああ、少し、な」
長く、赤い髪を揺らしながら、ウィザードの女性が横に座った。彼女、イティスもまた、あれ以来、一緒に行動することが多くなっていた。
「まあ、たいしたことじゃあない」
「ふうん・・・」
何か納得いかなそうな表情だったが、聞くのは諦めたようだ。
「それよりアッヅ、そろそろお昼にしませんか?」
「ふむ、そうだな・・・。よし。・・・二人共!飯にしよう!」
俺の呼び声に気付き、二人はこちらへと歩いてきた。その間に、俺はカートから、大きめのバスケットを取り出す。その中には、ランチボックスが入っていた。
「・・・お腹、空いた」
そう呟きながら、サイスは俺の前に座り、その横にクィンがちょこんと座った。
俺はランチボックスを取り出し、蓋を開ける。
中身は、色々な具が入ったサンドイッチ。それと人数分の瓶のミルク。今日は、あまりに良い天気だったので、皆でピクニックに来ていたのだった。
「うわ、美味しそう・・・」
全員で、いただきますと言った後、一人一人が、好みの具材を手にとり頬張る。
「うん、美味しい・・・」
イティスがそう言って、俺の方を見た。微妙に、信じられないといった感じの表情だ。
「まあ、そう言って貰えると、作った甲斐はあるが・・・何か言いたそうだな」
「いや、何か悔しくて」
・・・どういう意味だ。
考えながら、俺は自分の分を口に入れた。うん、まあ出来は悪くないな。
「でも、アッヅさん、本当料理上手ですよね~」
クィンは、ミルクを片手に、微笑みながら言った。二人のこういう反応は、いつもと違って新鮮な感じだった。その横で、サイスは淡々と、無表情のままサンドイッチを口に運んでいる。こちらは、俺にとってはいつも通りの光景ではある。
「うん・・・アッヅは料理得意・・・モグ」
言いながら、サイスはやはりサンドイッチを食べ続けている。細い身体をしている割に、サイスは割と健啖で、俺はいつも、料理の量を多めに作るようにしていた。一応、サイスも俺の料理は気に入ってくれてはいるらしく、残したことは全くない。作る方からしたら、とても有難い。
いや、毎度毎度駄文な上に更新遅くて申し訳ないです(誰に謝っているのか・・・
ちょっと小説らしきものは、読み返してみてちとあれだったので、一旦消します。またまとめて修正します。誰も待っていないでしょうが、ご容赦を。
んで、ちょっとだけ続き書きました。
次から始まります。
一応、続きですね。消しちゃってる分見てない方は、想像で何とかしてくださいw
それでは~